PsychoBreak 2 – コミック版制作陣インタビュー

25.07.17

(※PsychoBreak 2は2017年10月19日発売予定です)
セバスチャン・カステヤノスは、幸せとは程遠い人生を送っています。家族はバラバラ、友人はみな死んだか行方不明、そしてセバスチャン本人は「求職中」。挙句のはてに、地獄のような悪夢の世界に引きずり込まれ、その話をしても誰にも信じてもらえません。結果、セバスチャンは正気を失いかけています。ただ、職を失う前、まだクリムゾンシティ警察の刑事だったころ、彼は極めて異様な事件を捜査していました。しかもその事件は、ビーコン精神病院でセバスチャンを襲った惨劇に関係があるかもしれないというのです。『PsychoBreak』シリーズの海外版『The Evil Within』のコミックシリーズは、『PsychoBreak 2』の前日譚であり、セバスチャンが捜査していた奇妙な事件を描くものです。今回は、コミックの原作者Ryan O’Sullivan(代表作に『Warhammer 40,000: Dawn of War III』、『Turncoat』など)、作画担当の2人Damien Worm(『The October Faction』)とSzymon Kudranski(『30 Days of Night Annual』、『スポーン』)にインタビューを行い、『PsychoBreak』シリーズ制作および1作目と新作の間の空白を繋ぐコミックについて話を聞きました。コミックの第1巻は9月6日発売予定(※海外の情報になります。日本国内での発売は予定しておりません)、そして『PsychoBreak 2』はPS4、Xbox One向けに10月19日発売予定です。

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まずは、皆さんのホラー遍歴について教えてください。

RYAN:
私は怖がりで、何にでもすぐ驚くタイプなんです。だから、ホラーの作り手からしたらありがたいかもしれませんが、逆に脅かし甲斐のないとも言えます。ヒッチコックが好きで、ほとんどの作品を数回以上は観ていますが、ものすごい映画好きというわけではないので、私にしては珍しいことです。きっと、ヒッチコックが観る者の頭に入り込んで、操ってくるような感覚に強く心を揺さぶられるせいだと思います。それと、映画の『ソウ』シリーズが大好きです。ヒッチコックのほとんど真逆なので。『ソウ』は流血あり、どんでん返しありと、ポップカルチャーの王道を堂々とやっていますよね。1作目の『PsychoBreak』は、ヒッチコック作品と『ソウ』シリーズの両方に影響を受けています。そういう意味で、私の好みど真ん中です。

映画以外でもかなりのホラー好きです。『フランケンシュタイン』や『ドラキュラ』といったゴシック小説の古典作品には大きく影響されました。コミックの影響はそこまでではないですね。心から怖いと思えるホラーコミックはあまりないので。ほとんどが「ホラー要素もある冒険コミック」といった程度ですから。でも日本のマンガは相当怖いですよ。伊藤潤二にはものすごく影響されました。彼が作品で使うテクニックの多くが『PsychoBreak』にも登場します。それと、楳図かずお作品も好きです。もっと読みたいのですが、残念ながらまだあまり読めていません。

DAMIEN:
私はこの4年ホラーコミックの作画をやっています。その前は、おどろおどろしくて不気味な化け物のイラストを描いていたくらいでしょうか。ホラージャンルはやっていてすごく楽しいです。自分にピッタリのジャンルだと思います。

SZYMON:
ホラーはすごくクリエイティブなジャンルで、子供のころからハマっていました。感情の表現や緊迫感を煽るだけでなく、視覚的なインパクトも必要です。クリエイティビティが問われるのは、難しいですがやり甲斐を感じます。

ホラーゲームについてはどうですか?

RYAN:
『バイオハザード』、『サイレントヒル』、『DEAD SPACE』、『System Shock』、『アローン イン ザ ダーク』、『Amnesia: The Dark Descent』、あとタイトルは忘れましたが「スレンダーマン」ってやつが出てくるゲームまで、ありとあらゆるホラーゲームをプレイしました。サバイバルホラーと、純粋な物語による恐怖が入り混じった作品が好きです。『PsychoBreak』は、まさに私のためのゲームですね。

ホラーゲームって、他のどのメディアのホラーよりも怖いと思うんです。参加型だから。プレイヤーはゲームの世界に存在して、恐怖に対して自らアクションを起こさないといけません。それに対して、本やマンガ、映画はゲームに比べて受け身です。VR革命によって今後どんなホラーゲームが出て来るのか、すごく楽しみです。

DAMIEN:
私は長年ホラーゲームが大好きで、サバイバルホラーもアドベンチャーホラーもやります。『PsychoBreak』のように、芸術的作品と呼べるタイトルが多いジャンルですよね。

SZYMON:
初めてプレイしたホラーゲーム『バイオハザード』で、このジャンルにハマりました。他にも『サイレントヒル』と『ディノクライシス』がお気に入りです。90年代の終わりごろって、魅力的なストーリーの力でホラージャンルが活発だった時期で、そのころ10代だった人はみんな通った道だと思います。

『PsychoBreak』については、このプロジェクトに取り組み始めた当初から詳しかったのですか?

RYAN:
ええ。まるで私がこれまで遊んできたホラーゲームが融合して1つになったような感覚でした。私にとって現在、ホラーゲームの頂点に君臨する作品ですね。『バイオハザード』を熱心にプレイして育った私にとっては、同シリーズの精神を受け継いだゲームだとも感じています。ですので、ノスタルジーを覚える部分も大いにあります。

DAMIEN:
もちろん。実際にプレイしましたし、何度もクリアするくらい大好きです。作品のアナウンスがあった日にとても興奮したのを覚えています。

SZYMON:
三上真司氏が携わる作品と聞いて、発売時にプレイしました… まさに最高でした。

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『PsychoBreak』の時系列ではどこに位置するストーリーなのですか? ストーリーの内容は?

RYAN:
コミック版の時間軸は、1作目と『PsychoBreak 2』の間です。ルヴィクに似た手口で人々を殺害する連続殺人鬼を、セバスチャンが追いかけるストーリーになっています(妙ですよね… ルヴィクはSTEMの中で人々を殺害していたはずなのに。では、なぜこの殺人鬼は現実世界でルヴィクの手口を利用できるのでしょうか?)。今回の物語はスピンオフストーリーなので、2つの原作の巨大な陰謀が絡む包括的なストーリーからは少し距離を置き、人物の内面に迫る作品にしたいと思いました。

セバスチャンの心理を探りたい、そして彼は1作目で描かれた出来事をどう消化したのかを知りたいと考えました。彼は他人の脳内を巡り、怪物と戦い、そして命からがら逃げなければなりませんでした。そんな思いをしたら人はどうなってしまうのでしょうか? セバスチャンならどう反応するのでしょう? 『PsychoBreak 2』では、話がすぐに本筋に戻るでしょうから、コミックシリーズのほうでは、セバスチャンに一息つかせ、過去の出来事について振り返る機会を与えてみたら面白くなると考えたのです。もちろん、彼は連続殺人鬼を追い詰めなくてはならないので、そうそうゆっくりさせてはあげられないのですが。

コミックの中で気に入っているシーンやキャラクターはいますか?

RYAN:
セバスチャンが一番好きですね。このシリーズは、全ての出来事はセバスチャンの頭の中で起きていることなのではないかというコンセプトがベースになっています。実在しないキャラクターの頭の中に入るには、そのキャラクターに対して強い愛着をもっていなければなりません。原稿を書き終えた後に『PsychoBreak 2』のトレーラーを見たのですが、そのとき、普段他のゲームのキャラクターにはしないような感情移入の仕方をしていたのに気づいたんです。セバスチャンにはハッピーエンドを迎えて欲しいですね。もう十分すぎるくらい、色々なことがありましたから。

三上真司氏は映画『インセプション』の大ファンだそうですが、その影響は『PsychoBreak』にも表れています。ゲームで好きなシーンは、序盤の方の、あらゆるものが普通じゃなくなっている場面です。シーンの移り変わりも普通じゃなくて、連続した物語としての順序を保っていません。プレイヤー自身がそのバラバラになったシーンや物語の断片をつなぎ合わせるんです。このアイデアが一番好きな部分ですね。まるで夢を見せられているような、まさに他人の心の中に入り込んでいるような感覚になるんです。コミックでは、これをうまく再現できた部分が、お気に入りのシーンと言えるかもしれないですね。

DAMIEN:
「ザ・キーパー」が出てくるシーンは外せませんね。あとは洋館が燃えるシーンも好きです。

SZYMON:
(洋館ではなく)「納屋の」シーンね。

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ホラー系のプロジェクトをやっているときに変わった悪夢を見たことはありますか? 特に『PsychoBreak』に関することがあれば教えてください。

RYAN:
悪夢というほどではありませんが、奇妙な体験をしたことならあります。コミックの原作を担当することが決まったとき、記憶を掘り起こすためにもう一度ゲームをプレイすることにしたんです。発売当初にやって以来、数年間のブランクがあったので。クリアには何日かかかりましたが、非常に有意義な時間でした。仕事のためにゲームができるなんて、理想の人生ですよ。午前3時くらいにキリのいいところまで進めて、ノートPCの電源を落として、ベッドに歩いて行って(無意識に背中を壁に向けながら歩いていました)、それから寝ました。というより、少なくとも寝ようとはしました。

ベッドに横になって、血みどろのホラーゲームを10時間休みなくプレイして昂った神経を鎮めようとしていたんです。そしたら、鳥が部屋の窓にぶつかるような、そうとしか聞こえないような音がしたんです。ぶつかる音自体には特に驚いたりしなかったんですが、問題はその後でした。その「鳥」が窓をひっかき始めたんです! それも30秒近く。ただ、怖いとは感じませんでした。アドレナリンの出すぎで怖いと感じられなかったんです。それに、10時間もプレイした後だったので、恐ろしいものに対して免疫がついていたのもあります。そんな調子なので、頭の片隅では「もっと怖がってもおかしくないはずなのに」なんて冷静に考えながらも、その「鳥の形をしたバケモノ」が窓をひっかき続けるのを、横になったままただ聞いていました。結局、そのバケモノは別の標的になるコミックライターを見つけたらしく、どこかへ飛んで行ってしまいました。その後私がどうしたかはご想像の通り。ノートPCの前に戻って、ゲームを起動しました。あれは私へのメッセージだったんでしょう。決して逆らうことのできないメッセージです。

次の日に窓を調べてみると、やっぱり爪痕がびっしり付いていました。ただ奇妙なことに、さっき調べたらそんなものはありませんでした。

これも全部私の頭の中の出来事だったのかもしれませんね。

SZYMON:
それって、このプロジェクトの作業の間中、半裸の太った男が目出し帽をかぶって、窓の外からずっとこっちを見ていたことはありますかとか、そういうことですか? そういう体験は… ありませんね。それに正直言って、『PsychoBreak』はおもしろくて楽しいゲームですよ。むしろ、ホラーゲームやホラーコミックに好きなだけお金を使ってしまったら、一体どれだけの額になってしまうのか… そっちの方がよっぽど恐怖です。

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